帯広に来ました


帯広畜産大学公開講座「生産獣医療技術研修」を受講するため、帯広に来ました。
目的は、自分の能力向上のためです。分からない事をいつまでもあやふやなまんまにしておくのも問題ですので。。。内容は、生産獣医学を中心に、家畜飼養学・栄養学、家畜管理学、飼料作物学、酪農経営学などを体系的に学習し、産業動物臨床獣医師の資質向上を図るものになっているようです。
今日は、ばんえい競馬を見に行きました。その迫力に、思わず声をあげて応援していました。走っては休み走っては休む様子は、サラブレットのレースと全く異なりますね。ちょっと衝撃的でした。

子宮脱がありました


職場で残業していたら、子宮脱の診療が入りました。これまでのまとめをしてみます。
子宮脱は、産後に子宮が反転して外陰部から脱出する病気だ。速やかに元に戻し、外陰部を縫合する必要がある。
特別な持ち物:カウリフト、チェーンブロック、ローション、砂糖
手順
1. 話を聞く。
2. 牛を立たせる。立たない場合は、カウリフトで吊り上げるか、後肢をロープで尻が浮くまで吊り上げる。
3. 脱出した子宮をキレイに洗う。胎盤も除去する。
4. ローションを塗りつけ、外陰部へ押し込む。または、砂糖を子宮に塗りつけ、外陰部へ押し込む。子宮の先端まで元に戻すこと。必要に応じて、子宮用テラマイシン錠剤(オーレオオフ)を入れる。
5. 外陰部を縫合する。縫合方法は要検討。
6. 抗生物質とカルシウム剤を補液する。
これまでの戦歴
1. 古典的な、立位砂糖法。
2. 重機使用の、後肢吊り上げ砂糖法。
3. 起立不能の、カウリフト吊り上げ法。
4. 起立不能の、カウリフト吊り上げローション法。
5. 起立不安定の、カウリフト吊り上げローション法。
今夜の牛は比較的早く、美しく元に戻すことができました。整復後は自分で立つし、反芻もするし、なんとかなるでしょう。いや、なんとかなってほしい!

傷はぜったい消毒するな



傷はぜったい消毒するな
夏井 睦 著
「絶対~してはいけない」の本は信用ならないと、何かの本に書かれていたが、もやしもんの菌たちにほだされて読んでみた。かなり面白い本で、早速試している今日この頃。以下、新しい創傷治療!
新しい創傷治療
http://www.wound-treatment.jp/
治療の原則
☆傷消毒しない。消毒薬を含む薬剤を治療に使わない。
→消毒薬は組織障害性がある。
☆創面を乾燥させない。
→傷口を乾燥させると皮膚の細胞も肉芽組織も死んでしまう。浸出液には細胞成長因子が含まれている。
治療の手順
1. 圧迫して傷の止血をする。
2. 水道水で傷を洗う。傷の周りの皮膚の汚れを拭き取る。
3. ラップに白色ワセリンを塗り、傷を覆い、固定する。
4. 浸出液を吸収するため、ラップの上にタオルかガーゼを当て、包帯を巻く。
5. 一日一回は貼り替える。
6. 傷が上皮化して浸出液も出なくなったら、治療終了。
これを現在、牛で非常に多い関節炎に応用している。
1. 関節の傷周りの糞や汚れを、タワシを用いて洗い落とす。壊死組織を可能な限り取る。傷の周りの皮膚の汚れを拭き取る。
→かなり痛がるので、局所麻酔が必要か?
2. 傷口に白色ワセリンを塗る。
3. 三角コーナー用の穴あきビニールに紙おむつを入れた保護材で傷を覆う。ボンドで傷の周りを固定する。
4. ベトラップ(伸縮性包帯)で包帯する。
→一日一回の貼り替えは非現実的。何日間がいいのだろうか?

乳房炎原因菌1


乳房炎の原因菌の一つに酵母様真菌がある。
・羊血液寒天培地では白色の小~中コロニー
・クロモアガー培地では白色の小~中コロニー
・食塩卵培地では発育しない

レンサ球菌と間違えやすいが比べるとコロニーがやや大きく、α溶血はしない。怪しいと思ったらグラム染色をすることで簡単に鑑別できる。

もちろん、酵母様真菌には抗生物質が効かない。よって、気付かずに感受性試験を行って、全て効かない結果から正体が分かることも間々ある。
この酵母は菌株を集めたら、食品や飲料関係で欲しがる所は無いのだろうかとよく考える。

乳頭手術


本格的な乳頭手術を始めて見て感動した。やはり適当に縫うだけじゃダメなんだなァ。自分のためにメモメモ!
①キシラジンで牛を倒す
②乳頭をキシロカインで麻酔をかけた後、傷口をカミソリ等でデブリートメント
③乳頭の内膜を細いデキソンで連続縫合
④外膜ごとデキソンで垂直マットレス縫合
⑤乳房炎軟膏注入
⑥べトラップで巻く