今日から生産銃医療技術研修が始まりました。今日の講義内容は牛群検診の取り組み方、乳牛検定結果の読み方、飼料・栄養の基礎でした。久しぶりに大学の講義らしいものを一日中聞きました。
その中で、検定成績の読み方が改めて勉強になりました。
確かに、「検定成績は宝の山」なのかもしれません。
検定成績表からは、乳飼比、飼料効果、検定日の平均乳量、管理乳量、乳成分率、体細胞、繁殖管理、年間乳量、乳量乳期別分布、一乳期乳量、繁殖管理、除籍等が分かります。詳しい検定成績の見方は家畜改良事業団のHPからファイルを落とせるようです。
?乳飼比;乳生産に対する生産費の割合
定義;購入飼料代(濃厚飼料代)÷乳代※100
自給飼料の多い北海道でも20%前後が一般的だが、上昇の傾向
?飼料効果;濃厚飼料1kgで搾れる乳量
定義;乳量÷濃厚飼料(購入飼料)量
北海道でも3.0-3.5が目安
?検定日乳量;単純な1日1頭当たりの牛群平均乳量
?管理乳量(標準乳量);標準化された1日1頭当たり牛群平均乳量
標準化とは2産目、4月分娩、搾乳日数150日、総固形分補正乳量に統一
?乳脂率;繊維およびエネルギー摂取状況を反映
〈3.5%(個体)、〈3.6%(群平均)は繊維不足の可能性
?乳蛋白率;菌体蛋白質合成状況を反映
〈3.0%(個体)、〈3.1%(群平均)はルーメン内で発酵性炭水化物(エネルギー)不足の可能性
?無脂固形分率;同上
〈8.5%(個体)、〈8.6%(群平均)は同上
?年間乳量;経産牛1頭当たり年間乳量
定義;過去1年間の牛群総乳量÷経産牛合計
牛群の経済効率の指標
?240-305日乳量(一乳期乳量);過去1年間に泌乳期搾乳した牛の乳量
牛個体の産乳能力の指標
(10)補正乳量
統計的に6歳(4産)、4月分娩、2回搾乳、305 日泌乳量に補正した乳量
(11)乳量乳期乳量
産次と分娩後日数に注目し、漸近線を引いて形を見る。
(12)除籍;疾病発生の背景にある問題を認識する。
カテゴリー: 獣医な話
帯広に来ました
帯広畜産大学公開講座「生産獣医療技術研修」を受講するため、帯広に来ました。
目的は、自分の能力向上のためです。分からない事をいつまでもあやふやなまんまにしておくのも問題ですので。。。内容は、生産獣医学を中心に、家畜飼養学・栄養学、家畜管理学、飼料作物学、酪農経営学などを体系的に学習し、産業動物臨床獣医師の資質向上を図るものになっているようです。
今日は、ばんえい競馬を見に行きました。その迫力に、思わず声をあげて応援していました。走っては休み走っては休む様子は、サラブレットのレースと全く異なりますね。ちょっと衝撃的でした。
子宮脱がありました
職場で残業していたら、子宮脱の診療が入りました。これまでのまとめをしてみます。
子宮脱は、産後に子宮が反転して外陰部から脱出する病気だ。速やかに元に戻し、外陰部を縫合する必要がある。
特別な持ち物:カウリフト、チェーンブロック、ローション、砂糖
手順
1. 話を聞く。
2. 牛を立たせる。立たない場合は、カウリフトで吊り上げるか、後肢をロープで尻が浮くまで吊り上げる。
3. 脱出した子宮をキレイに洗う。胎盤も除去する。
4. ローションを塗りつけ、外陰部へ押し込む。または、砂糖を子宮に塗りつけ、外陰部へ押し込む。子宮の先端まで元に戻すこと。必要に応じて、子宮用テラマイシン錠剤(オーレオオフ)を入れる。
5. 外陰部を縫合する。縫合方法は要検討。
6. 抗生物質とカルシウム剤を補液する。
これまでの戦歴
1. 古典的な、立位砂糖法。
2. 重機使用の、後肢吊り上げ砂糖法。
3. 起立不能の、カウリフト吊り上げ法。
4. 起立不能の、カウリフト吊り上げローション法。
5. 起立不安定の、カウリフト吊り上げローション法。
今夜の牛は比較的早く、美しく元に戻すことができました。整復後は自分で立つし、反芻もするし、なんとかなるでしょう。いや、なんとかなってほしい!
傷はぜったい消毒するな
傷はぜったい消毒するな
夏井 睦 著
「絶対~してはいけない」の本は信用ならないと、何かの本に書かれていたが、もやしもんの菌たちにほだされて読んでみた。かなり面白い本で、早速試している今日この頃。以下、新しい創傷治療!
新しい創傷治療
http://www.wound-treatment.jp/
治療の原則
☆傷消毒しない。消毒薬を含む薬剤を治療に使わない。
→消毒薬は組織障害性がある。
☆創面を乾燥させない。
→傷口を乾燥させると皮膚の細胞も肉芽組織も死んでしまう。浸出液には細胞成長因子が含まれている。
治療の手順
1. 圧迫して傷の止血をする。
2. 水道水で傷を洗う。傷の周りの皮膚の汚れを拭き取る。
3. ラップに白色ワセリンを塗り、傷を覆い、固定する。
4. 浸出液を吸収するため、ラップの上にタオルかガーゼを当て、包帯を巻く。
5. 一日一回は貼り替える。
6. 傷が上皮化して浸出液も出なくなったら、治療終了。
これを現在、牛で非常に多い関節炎に応用している。
1. 関節の傷周りの糞や汚れを、タワシを用いて洗い落とす。壊死組織を可能な限り取る。傷の周りの皮膚の汚れを拭き取る。
→かなり痛がるので、局所麻酔が必要か?
2. 傷口に白色ワセリンを塗る。
3. 三角コーナー用の穴あきビニールに紙おむつを入れた保護材で傷を覆う。ボンドで傷の周りを固定する。
4. ベトラップ(伸縮性包帯)で包帯する。
→一日一回の貼り替えは非現実的。何日間がいいのだろうか?