2020/5/6 COVID-19と家畜の論文を読んでみた⑨


2020/4/13にOne Healthへ掲載されたCOVID-19のペットへの感染についての編集部コメント”The risk of SARS-CoV-2 transmission to pets and other wild and domestic animals strongly mandates a one-health strategy to control the COVID-19 pandemic”(10.1016/j.onehlt.2020.100133)を読んでみた。以下、大事だと思った点を抜粋します。


・SARS-CoV-2のS1タンパクとreceptor binding domain (RBD)が共同して、ウイルスが宿主の細胞へ接着する。
・構造上および生化学的性質から、SARS-CoV-2のRBDは人のACE2受容体だけでなく、ペット(イヌ、ネコ、フェレット)や家畜(ウシ、ヒツジ、ウマ)のACE2受容体にも親和性がありそうだ(10.1016/j.molmed.2020.02.008)
・コロナウイルスはゲノムサイズが大きく、RNAウイルスなので変異しやすく、他のコロナウイルス間で遺伝的組換えも起きるので、SARS-CoV-2も今後変化の可能性がある。


新型コロナウイルスSARS-CoV-2の変化の方向性によっては、ペットに親和性が高いものへと変化していく可能性を危惧する内容であった。それにしても参考文献(10.1016/j.molmed.2020.02.008)の人のACE2受容体と家畜のものへの類似性は恐ろしい内容だ。19のアミノ酸の内16が同一のネコや、19のアミノ酸の内11が同一のフェレットにはすでに感染が確認されている。参考文献(10.1016/j.molmed.2020.02.008)の表1にある種のうち、マウス、ハリネズミ、ニワトリ以外の種にはSARS-CoV-2感染の可能性があるということかもしれない。

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