2022/9/6 日本獣医学会学術集会で研究発表をしました


日本獣医学会学術集会の繁殖分科会で、生殖器奇形牛の妊孕性改善の手術についての研究成果をオンラインで口頭発表しました。発表の概要は以下となります。


【背景】
牛のホワイトヘイファー病(WHD)はミュラー管の形成不全により起こる先天性の生殖器奇形である。WHD牛は、卵巣に異常がないものの片側の子宮角に欠損や部分的形成不全が認められ、妊孕性が低いと考えられている。今回、34頭のWHD牛の妊孕性を調査し、妊孕性改善のために経腟片側卵巣摘出術(OVX)を4例に実施してその効果を検討した。

【材料と方法】
直腸検査で診断したWHDのホルスタイン種34頭とランダムに抽出した対照牛34頭について、生存日数と分娩履歴を比較した。また、子宮角欠損型のWHD牛4頭に対して欠損子宮角側の経腟片側OVXを実施し、手術前後の繁殖成績を比較した。

【結果】
WHD牛と対照牛の生存日数に差は認められなかった。しかし、分娩回数の中央値は、対照牛と比較して、WHD牛で有意に少なかった。経腟片側OVXを実施したWHD牛4頭は、残された片側の卵巣のみで卵巣周期が確認され、人工交配を開始した。WHD牛の発情発見率は手術前に比べ手術後で改善したものの、有意差は認められなかった。手術後に全症例で妊娠し、手術後の妊娠までの日数は手術前の空胎日数に比べ有意に少なかった。

【考察】
WHD牛の生存日数は対照牛と差はなかったものの、分娩回数が有意に少なくなっており、分娩間隔が延長していることが示唆された。WHD牛では片側OVX後に妊娠までの日数が短縮され、これは片側OVXにより常に正常な子宮角側で排卵が起こるようになったためであると考えられる。以上から、経腟片側OVXはWHD牛における有力な妊孕性改善方法になると期待できる。


今後も、当院は酪農よび獣医学の発展に貢献できるような研究継続していきたいと考えています!!

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2022/9/10 実習生の受け入れを行いました


忙しかったのでホームページの更新が滞っていました。7月末と8月初旬に実習生の受け入れを行いました(4および5人目)。

実習を通して、都市酪農と産業動物獣医療の理解が深まったならば嬉しく思います!暑い時期の実習、お疲れ様でした。


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2022/7/4 ちば創業応援助成金


ちば創業応援助成金への申請が採択されました。

この助成金制度では、計画の1/2の補助額で、最大50万円の補助限度額です。これでプログラムフリーザーの購入に関する負担額が軽減されることになりました。ウクライナとロシアの紛争による資材費と半導体の価格上昇の影響を受け、プログラムフリーザーの本体価格も上がっていたので助かりました。

本年度は、受精卵の凍結設備を整え、県への人工授精所の申請内容を変更し、モニターでの採卵の実施を計画しています。採卵をするのが楽しみです。

2022/4/19 乳頭に付着した副乳頭の切除術


未経産牛にETを実施していたら、左後乳房の乳頭の形が少しいびつなのに気が付いた。よく観察すると、乳頭に副乳頭が付着して融合していた。これは放っておくと乳房炎になりやすく、治療も難しいのは経験的に分かっている。予防的に副乳頭を切除し、乳頭を整形手術することにした。


手術前。


切開すると、副乳頭には小さいながら乳腺に繋がる管が認められた。


どうやら、別々の乳腺ではなく、同一の乳腺に繋がっているようであった。副乳頭は少し余計に切除。


皮内縫合をして手術終了!!

2022/4/6 輸入されたホルスタイン受精卵の移植


5年ほど前から、輸入されたホルスタイン受精卵の移植を定期的に依頼され、行っています。高額の受精卵なので(20-30万円/個)、毎回大変緊張します。

受精卵の質が良いのに加え、未経産牛のレシピエントへ移植していった結果、受胎率は通算で90%を超えました(19/21で受胎)。新鮮胚の受精卵移植でもこれほどの成績は出ていないので、驚異的なことです。畜主も喜んでいるので、こちらとしても嬉しい限りです。

産まれたホルスタイン種メス牛からも、未経産時点での体内胚生産を開始しました。これらのメス牛の今後の活躍が楽しみです!