2018/12/9 精子形成と性的活動を侵襲無く知る方法ついての論文を読んでみた


最近、尿が精子の活動に及ぼす影響を知りたくて論文を探している。PubMedで検索していると、フリーの以下の論文を見つけた。精子形成と性的活動を侵襲無く知る方法ついての論文(10.1038/aja.2012.2)をまずは読んでみることとなった。


  • 【背景】
    精子形成と性的活動を知るには、アンケートや射精精子の検査が一般的。けど、アンケートは客観性に欠けるし、射精精子は嫌がる人も多い。尿として排出された精子やPSA (prostate-specific antigen)でその代替ができないか?
  • 【目的】
    尿として排出された精子やPSAから精子形成と性的活動を知ること
  • 【材料と方法】
    Of 11 healthy volunteers who provided urine samples before and at intervals for 5 days after ejaculation, sperm was present in 2/11 men before, and in all 11/11 samples immediately after ejaculation, but by the second and subsequent void, spermatozoa were present in ,10%.
  • 【結果】
    PSA was detectable at high levels in all urine samples, peaking at the first post-ejaculatory sample but returning to baseline levels by the second post-ejaculatory void.
  • 【結論】
    初回の排尿に限られるが、尿として排出された精子やPSAは精子形成と性的活動を知る客観的なマーカーになる。

  • PSAっていうのは、精子に特異的で法医学の検査でも用いられているようだ。なるほどーと思うけど、僕の知りたい情報はほぼ皆無。次を当たろう。

    Bibliography

    2018/12/2 胎児の中手骨・中足骨の太さがホルスタイン種乳用牛の難産を予測する指標になるかを検討した論文を読んでみた


    胎児の中手骨・中足骨の太さがホルスタイン種乳用牛の難産を予測する指標になるかを検討した論文(10.3168/jds.2018-14658)を読んでみた。

  • 【背景】
    未経産牛の約5割、経産牛の約3割が難産だったという報告がある。また、難産の一般的な原因は在胎期間と、胎児と骨盤腔の不均衡である。そして、胎児と骨盤腔の不均衡の2大要因は子牛の体重と母牛の骨盤腔の大きさである。
  • 【目的】
    ホルスタイン種乳用牛の妊娠末期における胎児の中手骨・中足骨の太さが出生時体重と難産を予測できるかを検討する
  • 【材料と方法】
    妊娠期間265-282日の母牛128頭に経直腸超音波検査を実施し、胎児の中手骨・中足骨の太さを測定(図1, 2)。

    分娩のスコア化は以下に従った。スコア1(自然分娩)は無介助、または、一人でのわずかな介助分娩。スコア2(lightな難産)は足胞の出現から2時間経過、または、一人での機械を使用しない中程度の牽引。スコア3(mildな難産)は2人での機械を使用しないかなりの牽引。スコア4(severeな難産)は3人でのかなりの牽引、または機械を使用した牽引。スコア5は帝王切開、切胎。

    子牛の体重は出生直後に測定した。

    母牛と子牛の足の太さを考慮するために、MCTI(母牛体重kg / 中手骨・中足骨の厚さcm)という新概念を用いて検討した。

  • 【結果】
    ①93.3% (104/128)の子牛を測定できた。104頭のうち、単子は93.3%、双子は6.7%であった。単子の分娩の44.3%が難産(スコア2以上)だった。単子の分娩の92%が頭位であった。

    ②難産発生を目的変数としたロジスティック回帰分析では、MCTIを説明変数としたモデルが最適であった。そのモデルにおけるオッズ比は2.07 (CI=0.002~11.104)であった(表1)。

    ③中手骨・中足骨の太さと出生時体重には正の相関が認められた(r = 0.43, P < 0.001, 図3)。

  • 【結論】
    MCTIという概念は、調査項目の中では難産発生の予測に最も適していたものの、すべての難産を予測するのは困難。難産率は「難産の定義」と分娩の管理方法により大きく異なるため、他の牛群で同様の難産スコアをした上で、MCTIの有用性を再検討する必要がある。
  • 【感想】
    分娩前に足を触れない場合はたまにあるので、その時は評価できない。けど、ちゃんとエコーで測定できれば、子牛の過大の推定はできるって話か。難しいのは、「難産」を決めるのは子牛の腕の太さや体重だけではないってこと。確かに、「サイズが原因の難産」は頭部および両前肢の大きさや胴回りと骨盤腔の広さの問題なんだろうから。
  • Bibliography

    2018/11/24 乳牛の妊娠後期から泌乳初期における飼料中リンの低減が血中カルシウム濃度に及ぼす影響についての短報を読んでみた


    乳牛の妊娠後期から泌乳初期における食餌性リンの低減が血中カルシウム濃度に及ぼす影響についての短報(10.3168/jds.2018-14642)を読んでみた。

  • 【背景】
    周産期の低カルシウム血症は乳牛において経済的損失が最も大きい疾病の一つである。これまでに、妊娠後期の飼料中リンの過剰給与が周産期の血中カルシウム濃度に悪影響を及ぼすことが分かっている。
  • 【目的】
    妊娠後期からの飼料中リンの低減が周産期の血中カルシウム濃度に及ぼす影響を明らかにすること。
  • 【材料と方法】
    18頭の経産牛をランダムにコントロール群と低リン群の2群に分けた。コントロール群ではNRC2001に沿ってリンをリン酸水素ナトリウム給与し、低リン群では給与しなかった。分娩-28, -10, -2日, 分娩後+1, +3日で採血し、カルシウム濃度、無機リン濃度、副甲状腺ホルモン濃度、骨吸収マーカー濃度を測定した。
  • 【結果】
    ①乾乳期用TMRのリン濃度は、コントロール群で0.28%、低リン群で0.15%となった。泌乳期用TMRのリン濃度は、コントロール群で0.44%、低リン群で0.20%となった(Table 1)。

    ②血中のカルシウム濃度と副甲状腺ホルモン濃度は分娩前に両群で変化がなかったが、無機リン濃度は低リン群で有意に減少し、骨吸収マーカー濃度は低リン群で有意に上昇した(Figure 1, Table 3)。分娩時にコントロール群で副甲状腺ホルモン濃度は有意に上昇した(Table 2)。

    ③分娩後分娩後+1, +3日で、血中のカルシウム濃度は低リン群で有意に上昇した(Figure 1)。また、分娩後+3日で骨吸収マーカー濃度も低リン群で有意に上昇していた(Table 2)。

    ④臨床型の低カルシウム血症は、コントロール群で33.3% (3/9)に発生したが、低リン群では0% (0/9)だった。

  • 【結論】
    分娩後の低カルシウム血症予防のためには妊娠後期の飼料中リンを低減した方が良さそうだが、その潜在的な悪影響については今後さらに精査する必要がある。
  • 【感想】
    分娩→低カルシウム血症→副甲状腺ホルモン濃度上昇、というのが牛の生体反応。それを、飼料中リン濃度低減→血中無機リン濃度減少→骨吸収増加→結果として血中カルシウム濃度が高く推移という解釈。取り組みとしては簡単に実行できるし、何よりも農家に理解してもらいやすそうだ。
  • Bibliography