Serratia属の乳房炎


セラチアSerratia属による乳房炎は比較的珍しい。

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写真左は羊血液寒天培地、右はクロモアガー酵素基質培地。クロモアガー酵素基質培地上で赤や青の光沢のあるコロニーを形成するのが特徴だ。

慢性の乳房炎で検出されることが経験上多い。が、教科書の記述はとても少ない。

乳房炎の虎の巻、Mastitis Control in Dairy Herds(Roger Blowey and Peter Edmondson, 2010) を調べてみた。しかし、たったの3点しか触れられていなかった。

1. 乾乳牛も搾乳牛でも発生する、稀な乳房炎。
2. Serratia属の中でも、Serratia marcescensが最も一般的。
3. 色素産生する細菌より、色素非産生の細菌の方がより病原性が高い。

仕方がないので、The Merck Veterinary Manualを調べてみた。こちらは、Web版はタダで読めるので、非常にお勧めです。Serratia属の乳房炎についての記述を以下に抜粋する。

Serratiamastitis may arise from contamination of milk hoses, teat dips, water supply, or other equipment used in the milking process. The organism is resistant to disinfectants. Cows with this form of mastitis that continue to display clinical signs should be culled.

4. ミルクホース、ディッピング剤、水道等の搾乳機器のコンタミが原因。
5. Serratia属は殺菌剤に耐性。
6. Serratia属の臨床型乳房炎は慢性例では淘汰すべき。

うーん、残念ながら情報量がとても少ない。色素非産生のSerratia属っていうのはどういう菌なのだろうか。酵素基質培地でも色素非産生だとすると、気づいていないだけかもしれない。