10/29 初めて論文が雑誌に載った


就職してから初めて研究に携わっていた仕事が、無事に論文掲載まで辿り着いた。

産業動物獣医師なら誰もが見ているはずの、家畜診療誌!タイトルは、「乳牛における乾乳期の管理がβヒドロキシ酪酸に及ぼす影響」です。興味ある方は読んでみてください☆
正直、普段の仕事とは異なり、データの取りまとめや論文の執筆はかなり大変だった。時間も多大に費やした。しかし、仕事をまとめるというのは勉強になったし、こうやって形になるとすごく嬉しい。ほとんど、共同研究者のおかげでここまで辿り着けた気もする。ありがたい限りだ。


モンシロチョウまでも、祝福に診療車に飛び込んできてくれた。

現在は、アルカノバクテリウムという乳房炎原因菌についての論文の執筆と、学会発表用のスライド作りをしています。獣医師という職業は、生涯お勉強をする仕事だと感じます。

10/28 虫もいろいろいるけれど、牛に付くのは嫌いです


先日、子牛の除角をしていたら、白い細かいフケのようなものが首に付いているのに気が付いた。あぁ、またいたよ。なんとなく、採取して顕微鏡で覗いた。

あぁ、おぞましい…。
この虫は牛のフケなどを食べている、ウシケジラミです。よく、子牛に寄生しているのを見かけるが、親牛ではほとんど見ない。聞くところによると、人のアタマジラミも子供に寄生するものの、大人にはあまり寄生しないらしい。一体、なぜだろうか?
それにしても、吸血性のケブカウシジラミと比べるとやはり形態が異なるなぁ。


目の保養に美しい昆虫もご覧に入れましょう。今日の昼休憩に、土手に這いつくばって撮りました。

ゴマシジミ

ベニシジミ
シジミチョウの仲間もいっぱいいるから識別が大変だ。

10/19 腱切断術後の子牛、その後


ナックルが重度で、腱切断術をした子牛の畜主から電話がかかってきた。なんと、出荷したいから、抜糸して欲しいということだった。喜んで往診に向かった。

写真の通り、左側前肢がわずかにナックルは残り、球節に腫れぼったさはあるものの、負重に全く問題はない!コレなら大丈夫かな?
なんとか子牛を一頭拾えた気がした。問題は、この子牛がいくらで買い叩かれるかだな。さすがに手術跡は隠しきれない…。

10/15 子牛の腱短縮症はどっちの腱を切るべきか?


子牛の腱短縮症は、生まれつきナックルで生まれてきて、蹄で立てずに球節で立ってしまう。軽度なら、自然に、またはギブス固定で治る。しかし、重度だと、腱を切る手術をしてナックルを治すしかないと思う。
切るべき腱は、浅指屈筋か深指屈筋の腱のどちらか、もしくは両方だ。

左側の太い方が、浅指屈筋の腱。右側のやや細い方が、深指屈筋の腱。さぁ、どちらを切るべきなのか?
最近の事例から考えてみた。

患畜は両前肢が重度のナックルで、蹄で立てない。ギブス固定を試みるも、状態は変わらなかったことから、腱切断の手術をすることにした。

まずは、浅指屈筋の腱を切断した。しかし、そこまで球節は伸びず、ナックルは良化しない。かといって、深指屈筋の腱を切る勇気がなく、淡い期待を込めて、このまま縫合し、再びギブス固定をした。

手術後、何とか蹄の先端で立つことができている。が、ギブスに頼っている感じがする。。。

このまま10日ほど様子をみて、ギブスを外した。子牛は元気に立とうとするのだが、やはりギブスに頼って立っていたようでうまくいかない。なんとか蹄で立つのだが、姿勢が悪く不安定で、すぐにナックルになってしまう。あぁ、ダメだった…。このまま数日様子を見てもらうよう伝えたが、この時点で、僕は治らなかったと諦めていた。

さらに三日ほどして見に行くと、この子牛は元気に暴れまわっていた。姿勢はいまいちで前肢を伸ばすように立つが、なんとナックルは良化して蹄でしっかりと立てるようになっていた!これなら何とかなるかもしれない☆

解剖学の本を見ると、浅指屈筋と深指屈筋の腱は終止している骨が異なっている。深指屈筋の腱の方が、より遠位の骨に終止しているのが分かる。
つまり、球節のナックルが非常に重度な症例では、深指屈筋の腱を切った方が有効なのではなかろうか?
次にこのような症例に出会ったら、ぜひ試してみたい。

10/6 コレって何か分かりますか?


今日、いつものように診療に行くと、牛舎内にこんなものが落ちていた。

長さは約50cm、太さは細長いキュウリでしょうか。
コレが何か分かりますか??
ヒント1、子牛の周りにありました。
うちの妻は、臍帯ではないかと答えた。
ヒント2、その子牛は長らく下痢をしていました。
うちの妻は、それでも臍帯ではないかと答えた。

ヒント3、中身は黄白色の物が詰まっていました。

ヒント4、切断した中身を洗うと、脆弱な筒状の物になりました。
…もうお分かりですね?
コレは偽膜です。慢性の下痢により、腸の表面が死んで剥がれ出た物です。こんなに立派な物は始めての見た!
答えを教えると、うちの妻は、食事中にそんな物見せるな!と、激怒した。