乳牛における乳房炎が流産に及ぼすに影響とその被害額についての論文(10.3168/jds.2018-14619)を読んでみた。
約500頭を飼養する大学の酪農場における、2006年から2013年で、空胎日数175日未満の初産牛687頭のデータを使用。プレシンクとオブシンクのプログラム(TAI)を併用し、TAI後33日で受胎が確認されたものをデータとして使用。夏期にはETを実施。流産はTAI後47, 75日の直腸検査で評価した。
臨床型乳房炎の定義は、明確な乳汁の異常があり治療を行ったもの。非臨床型乳房炎の定義は体細胞スコアが4.5以上だったもの。
牛は以下の3群に分け、それを交配前1~42日と妊娠期間中とで評価。①乳房炎に罹患しなかった牛、②非臨床型乳房炎に罹患した牛、③臨床型乳房炎に罹患した牛。
多変量解析で、交配前の乳房炎と流産に関連は認められなかった。一方、妊娠期間中の乳房炎と流産には関連が認められ、そのモデルにおけるオッズ比は臨床型乳房炎が2.21 (P = 0.04)、非臨床型乳房炎が0.65 ( P = 0.45)だった(表2)。そのモデルには他に交配方法(ETにおけるオッズ比は2.04, P = 0.02)と交配前の跛行(Yesにおけるオッズ比は4.13, P = 0.02)の説明変数が選択された。
妊娠75日までにおける流産の経済的損失は$148.99 / caseだった(表3)。