F1子牛の右後肢の飛節が腫れていると診療依頼があった。確かに飛節のみが腫脹しており、特に関節液が増量し腔が腫脹しているように触診で感じた。数日の抗生物質の治療でも変化が乏しかったため、関節洗浄を行った。
写真1 鎮静化での飛節の関節洗浄
写真1のように留置針を2か所に穿刺し、生理食塩水に抗生物質を混ぜ、1L分の洗浄を行った。留置針で穿刺した時は粘稠性の関節液が出たが、洗浄ですぐに水様性になった。
関節洗浄の翌日には跛行はほとんど見られなくなり、飛節の腫脹はすぐに消失した。飛節の関節洗浄は初めての経験であったがやって良かった症例であった。
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関節を穿刺するのにどうして穿刺部位の毛刈りをしないのですか?
不潔だと思います。関節はとくに清潔な処置が重要だと思うのですが。
カミソリではなく、バリカンでの毛刈りです。
処置後すぐに売却するために、毛刈りすると目立つからでしょうか?
>kenさん
コメントありがとうございます。毛刈りの件、ご指摘はその通りだと思います。毛刈りをすると毛が生え揃うのに時間を要すことを畜主と相談し、アルコール消毒のみで実施しました。子牛の後肢に糞尿の付着がなく、比較的清潔であろうという判断もありました。バリカンでの毛刈りは今後の検討課題にしたいと思っています。ご指摘、感謝します。
ちなみに、kenさんはバリカンはどのようなものを使っていますか?診療所のにあるものが大型(成牛用)のもので、どうしても子牛のような細かい処置をするには向かないのです。もし差支えなければ教えていただけると幸いです。
処置時にきれいでも、刺入口から出血・滲出すれば毛に付着し、細菌増殖の温床になると思います。
でもそれはきれいごとで、めったにそんなことは起きませんよね。
バリカンはspeedik CL-50、ブレードは1mmを使用しています。
メーカーはブレードの分解を勧めていませんが、使用ごとに分解・洗浄すると長持ちすると思っています。
術野、外傷、関節洗浄等の毛刈りに使っております。
> kenさん
返信遅くなりました。バリカンの件まで教えていただきありがとうございます。参考にさせていただき、手に入り次第関節の毛刈りにも使いたいと思います!
飛節を関節洗浄するときは、針の1本は足底側に入れるのが良いと考えています。飛節は足底側までつながった大きな関節で、足底側を洗い残したくないからです。
私のところで使っているバリカンは、Andisのコードレスです。Osterのゾロ品ですね。刃は互いに互換性があります。一番短く刈れるものを使います。
> hig先生
洗浄のポイントとバリカンの紹介をありがとうございます。足底側に一本入れるほうが良いのは分かるのですが、どの方向から入れればよいのかについてまだ理解不足です。関節洗浄はまだまだ症例数を重ねていないため、血管を避けて刺入し、入りやすそうな部位から入れている段階です。次回はどの部位に入れるのか検討してみたいと思います。
バリカンはコードレスなのですか。どうにもコードレスはパワーがなくて牛では使い物にならないという印象が抜けていないのですが、物次第なのでしょうね。現在、購入を検討中ですので、教えていただいたバリカンも比較検討の材料にさせていただきます!