4/6 白帯病なのか白線病なのか


フリーストールの農家から蹄病の治療依頼があった。

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Picture1. 治療開始前の右後蹄

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Picture2. 削蹄後の右後蹄

よくある蹄病である。さて、この病気の病名を何と記述していますか?それを明らかにするのが今回の記事の主題である。


この病気の病名は日本語では白帯病と白線病とが混在している。

一般的にはどちらの病名が使われているのだろうか?まずは文献で使われている数を調べてみた。Google Scholarを使って、牛というキーワードと共に検索してみると、思った以上に文献数にあまり差が出なかった。


白帯病=15件
白線病=8件

では、どちらの使用が勧められているのだろうか?日本獣医学会疾患名用語集を調べてみた。以下のみが掲載されていた。


2-06-140
はくたいびょう
白帯病
white zone disease

では、海外ではどちらが使われているのかと興味がわいたので、Merck veterinary manualを調べてみた。

なんと、White line diseaseで掲載されていた。

すると、今度は世界では白線病(White line disease)が勧められているのかが気になってくる。やはり最終的にはPubMedに行き着いてしまった。最初から王道で調べれば良かった。それはさて置き、どちらが多く使われているのだろうか?それぞれのキーワードに牛のキーワードも加えて検索数を比較した。


White zone disease=0
White line disease=43

これで結論が出た。和文なら白帯病が主流、英文ならWhite line diseaseのみの使用である。白線病は、White line diseaseが和名として輸入されたものと考えられる。Google scholarによると、白帯病と記された文献は1987年が、白線病は1996年が最も古い文献記録として出てくるからだ。

*記事内のPubMed検索数に一部誤りがあったため、内容の訂正をしました。2016.4.12