フリーストールの農家から蹄病の治療依頼があった。
よくある蹄病である。さて、この病気の病名を何と記述していますか?それを明らかにするのが今回の記事の主題である。
この病気の病名は日本語では白帯病と白線病とが混在している。
一般的にはどちらの病名が使われているのだろうか?まずは文献で使われている数を調べてみた。Google Scholarを使って、牛というキーワードと共に検索してみると、思った以上に文献数にあまり差が出なかった。
白帯病=15件
白線病=8件
では、どちらの使用が勧められているのだろうか?日本獣医学会疾患名用語集を調べてみた。以下のみが掲載されていた。
2-06-140
はくたいびょう
白帯病
white zone disease
では、海外ではどちらが使われているのかと興味がわいたので、Merck veterinary manualを調べてみた。
なんと、White line diseaseで掲載されていた。
すると、今度は世界では白線病(White line disease)が勧められているのかが気になってくる。やはり最終的にはPubMedに行き着いてしまった。最初から王道で調べれば良かった。それはさて置き、どちらが多く使われているのだろうか?それぞれのキーワードに牛のキーワードも加えて検索数を比較した。
White zone disease=0
White line disease=43
これで結論が出た。和文なら白帯病が主流、英文ならWhite line diseaseのみの使用である。白線病は、White line diseaseが和名として輸入されたものと考えられる。Google scholarによると、白帯病と記された文献は1987年が、白線病は1996年が最も古い文献記録として出てくるからだ。
*記事内のPubMed検索数に一部誤りがあったため、内容の訂正をしました。2016.4.12