1/5 仕事始め以来騒がしい日々が続く!


正月の三が日も終わり、昨日から診療所も通常営業に戻った。お正月は、驚くほど診療が少なく、ゆったりとした正月日直を過ごしていたわけだが、昨日から突如忙しい。
初日に第四胃変位も済まし、夜間診療等もばかばかはいる。やはり、年末年始は農家も診療依頼を自粛していたのであろうか?
だが、ガマンはよろしくない。そのツケがこの忙しさか…。ありがたいようなそうでないような…。

今日は乳頭損傷の牛の縫合手術をした。すでに一日半が経っていたため、新鮮創を出して、形成縫合した。うまくいくだろうか??

12/28 牛のお腹も診療所も大掃除


年末といえば大掃除だ。
診療所に蓄積していた積年の埃や過去の遺産を、朝からみんなで吐き出した。


ついでに牛のお腹のゴミ拾いも行った。
この牛は10月より度々食欲減退を繰り返していた。発熱は無いものの、やや背湾姿勢、頚静脈は怒張、腹底に緊張感があった。治療すると良くなるのだが、食欲減退を繰り返した。
金属異物による第二胃炎を疑い、カウサッカーで磁石(パーネット)の摘出を行った。

釣果は今までで一番の大きさの針金であった。写真の約9cmもの針金と、約4cmの鋭利な針金がチクチクと悪さをしていたのだろう。
この牛は、小綺麗で整理された牛舎で飼われていた。餌からの混入であろうか?



朝に吐き出したゴミは分別してクリーンセンターへ持っていった。さすがにみんなやることは一緒で、車が大行列になっていた。

12/14 ケブカウシジラミ再び!


まずはこの写真をご覧ください。

牛の鼻先です。何を見せたいか分からないでしょう。
アップしました。

なんと、コレは牛の模様ではないのです…。
さらにアップします。

これぞ、踊る大寄生虫群!
そうです。この牛はケブカウシジラミに多量感染されていました。
そして、この牛は7月に寄生が確認された牛と同一個体なのであった。エプリネックストピカルで駆虫して以来、5ヶ月ぶりの再確認。薬効を調べていると、理由がわかった。
類似体であるイベルメクチン製剤は動物に使用すると、皮膚や皮下組織に高い濃度で分布する。外部寄生虫は、この薬に対して、接触しても作用せず、経口摂取することで死ぬ。つまり、疥癬やウシバエに著効を示し、吸血シラミやダニにも効く。しかし、体表のフケなどを食べるハジラミには効かない。
もちろん、吸血シラミであるケブカウシジラミにも効く。事実、一度は見えなくなった。では、なぜ今再び彼らは繁栄しているのか?
答えは簡単だ。イベルメクチン製剤は、体表に付着していたシラミの卵には当然効かないのである。
卵が孵化した第二波も駆虫しなければならなかったのだ。理由がわかったからには、今度は二回駆除することにしよう!
それにしてもこの牛は散々な目にあっている。やっと受胎したと思ったら、後肢の関節炎が悪化し、ケブカウシジラミの寄生が見つかり、落ち着いたと思っていたら第四胃右方変位になり、手術中に再びケブカウシジラミが見つかった。なんとか回復したものの、乳量は出なくなり、長期乾乳になりました。

12/8 BCSは役に立つのか?


僕は繁殖検診の度に、牛のボディ コンディション スコアー(BCS)を記録している。このデータを蓄積していくと、いろいろなことがわかる。代謝プロファイルテストの一項目でもあり、診断に有用だ。
以下は、とある若手酪農家のBCSの推移である。

この農場は赴任以来、繁殖成績が著しく低迷し、飛節の腫脹が続出した。粗濃比が狂い、ルーメンアシドーシスになっていた。牛のBCSもご覧の通りガタガタであった。
餌の内容を改善し、BCSに意識して管理するよう促した。
すると、みるみると繁殖成績は向上した。空胎期間は長くなったが、次々と受胎していった。

BCSの推移も理想的なラインを描いている。
BCSを用いた飼養管理は、手間はかかるもののお金はかからない、非常に有用なツールだと思っている。