とある農家の乳房炎対策に携わっている。搾乳立会いを重ねた結果、牛床に問題があるということに、皆で行き着いた。その関連で、糞尿処理と堆肥作りについて、勉強中です。
しかし、残念ながら僕らは堆肥について詳しくないので、農業普及センターの方の協力をいただいています。
今日はバーンミーティングと堆肥施設の現地調査を行った。
重さを計って水分量を見たり、
発酵中の温度を測ってみたりした。
その結果、問題点も見出せた。実習そのものであったが、勉強になるなぁ。
はて?うちの大学では、座学しか聞かなかった気がするゾ。。。
カテゴリー: 獣医な話
5/30 16肢目:蹄底潰瘍、17肢目:蹄葉炎?で砂糖浸漬療法
昨日、職場の研究集会が終わり、ようやく時間ができた。マイコプラズマ性乳房炎の発表で、なんと奨励賞をいただいた。ありがたい限りです。暑気払いの足しになることでしょう。
今日は初産牛の蹄病であった。一度も蹄を切っていないとのこと。まずは、痛がっていない方から切った。
内蹄に潰瘍が入っていたので、結局、ヒールレスの処置。
そして、痛がっている方の蹄にアプローチする。蹄底は肥厚している。
内蹄から多量の排膿があり、病変を詮索すると、蹄鞘は広く遊離し、真皮が露出していた。蹄葉炎なのだろうか?それとも、時間が経って潰瘍が広がったのだろうか?
昨日の研究集会で報告されていた砂糖浸漬療法を早速試してみた。果たして、皮膚の形成が促されるのだろうか??楽しみである。
5/26 クラーゲンの知恵
酪農家から教わることは多い。こちらに異動してから教わったのは、クラーゲンの楽な塗り方だ。
クラーゲン(正式にはクラーゲンネオ)は局所を冷やすための湿布薬だ。牛の治療には、急性乳房炎などに広く用いられている。
サリチル酸メチルが入っていて、抗炎症作用があるし、メントールのおかげでスースーとする。発熱しているのを、抑えることができる。
しかし、この薬は大分ベタつくので、塗るのに苦労したりする。
教えていただいて感心したのが、ゴムヘラの利用だ。料理に使われるゴムヘラで塗ると、丁度よい大きさで、ベタつかず、均等に、かつ牛を暴れさせないで塗ることができる。
なるほどー。確かに、手袋で塗るより、キレイに濡れている!
15肢目:蹄底潰瘍
枠場を持っていない農家からの蹄病の依頼があった。削蹄師に蹄を切ってもらったら、ますます肢を痛がるようになったらしい。
外蹄の蹄尖より1/3程の部位に何かがある。
蹄底は二重構造になっており、糞がみっしりと詰まっていた。そして、蹄の組織が増生していた。おかしな組織は切除したかったが、ロープのみの固定では痛がってしまいこれ以上は処置ができなかった。内蹄にブロックを装着し、終了とした。
やはり、蹄病治療には枠場が必要だ!
本日は子宮捻転が突発で入った。娘が初めて病気をした。他、大変なことが多数。金環日食以来、色々なことが次々と襲ってくるなぁ。
5/18 乳房洗浄するも…
朝から急に食欲不振に陥った牛がいた。畜主は搾乳後に気づいた。
熱は39.8度、耳翼は下垂し、餌をほとんど食べない。左後ろの乳房は大きく腫れ、熱を帯びていた。急性の乳房炎だ。まだ眼球の充血も皮膚の冷感もない。
このような症例はいつも迷う。レンサ球菌の急性乳房炎なのか?大腸菌性乳房炎の初期症状なのか?
もし大腸菌を殺菌作用の抗生物質で叩けば、菌から毒素が出てショック状態に陥る。最悪、起立不能になったりする…。
そう考えると、怪しきは慎重に、大腸菌性乳房炎の治療を行った。
オキシテトラサイクリンと高張食塩水を静脈内注射し、同時に罹患乳房の乳汁を排出し洗浄した。
翌日、原因が判明した。残念、大腸菌ではなくレンサ球菌であると分かった。
牛も症状は回復し、食欲は普通に戻った。熱も引き、乳房の腫脹も引いたので治療を終了した。
薬剤感受性試験では、オキシテトライクリンの阻止円はあまり大きくなかった。
おそらく、セファゾリンでかっつり治療しても、この牛は治ったであろう。
ふふふ、よくある話です。