2023/10/13 牛の両側性内斜視の原因候補遺伝子が見つかった話


セミナーで牛の牛の両側性内斜視の原因候補遺伝子が見つかったという2021年の研究を知った。元ネタは以下の論文である。症例の写真も見ることができる。
GWAS Hits for Bilateral Convergent Strabismus with Exophthalmos in Holstein Cattle Using Imputed Sequence Level Genotypes

この研究は、ホルスタイン種牛における両側性収束性斜視と眼球突出(Bilateral Convergent Strabismus with Exophthalmos, BCSE)の表現型特性と関連ゲノム領域を調査する目的で行われた。BCSEは軽度だが進行性の障害で、生後最初の2年間に牛に視覚的な悪影響を与える。初めのGWASでは関連SNPは検出されなかったが、Inputation後のGWASで3つの異なる染色体上に有意に関連するSNPが見つかった。これらの領域には、ABCC4遺伝子や、NCOR2およびDNAJC3遺伝子に隣接するマーカーが含まれており、これらが候補遺伝子と考えられる。この結果は、BCSEの遺伝が単一遺伝ではなく複雑であることを示している。また、病理学的評価では、検査された2頭の動物の眼筋に中程度から重度の変性と再生が見られた。

このグループでは52頭もの発症牛を見つけてサンプルとしている。よくもこんなに多く見つけたものだ。僕自身、このような症例を見たことは1, 2例しかなかったように思う。

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