2020/4/13 COVID-19と家畜の論文を読んでみた②


4/8に公開されたScienceに掲載された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と動物の感染についての論文”Susceptibility of ferrets, cats, dogs, and other domesticated animals to SARS–coronavirus 2″(10.1126/science.abb7015 )を読んでみた。以下に抄録を紹介し、感想を少し書きます。


  • 【背景】
    Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) causes the infectious disease COVID-19, which was first reported in Wuhan, China in December, 2019. Despite the tremendous efforts to control the disease, COVID-19 has now spread to over 100 countries and caused a global pandemic. SARS-CoV-2 is thought to have originated in bats; however, the intermediate animal sources of the virus are completely unknown.

    SARS-CoV-2ウイルスは、2019年中国武漢で初めて報告された、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす。数多くのCOVID-19の制御対策にも関わらず、100か国以上に広がり、パンデミックとなった。SARS-CoV-2ウイルスはコウモリ由来だと考えられているが、中間宿主は不明である。

  • 【材料および方法】
    Here, we investigated the susceptibility of ferrets and animals in close contact with humans to SARS-CoV-2.

    フェレットと人間と関わりの深い動物(ネコ、イヌ、ブタ、ニワトリ、アヒル)のSARS-CoV-2ウイルスに対する感受性を調査した。

  • 【結果】
    We found that SARS-CoV-2 replicates poorly in dogs, pigs, chickens, and ducks, but ferrets and cats are permissive to infection. We found experimentally that cats are susceptible to airborne infection.

    SARS-CoV-2ウイルスはイヌ、ブタ、ニワトリ、アヒルではほとんど増幅されなかったが、フェレットとネコでは感染を許容した。また、実験的には、ネコは空気感染の影響を受けやすいことが分かった。

  • 【結論】
    Our study provides important insights into the animal models for SARS-CoV-2 and animal management for COVID-19 control.

    この実験はSARS-CoV-2ウイルス感染の動物モデル、そしてCOVID-19制御への動物の管理について重要な示唆をもたらしている。


  • 注目すべきは、実験感染させたネコの側のケージにいたネコへも空気(おそらく飛沫?)感染が成立したことだ(図3)。実験頭数が少ないため危険性は不明なものの、ネコもCOVID-19の感染源になるために注意が必要なことを明確に示している。

    4/13時点では、日本獣医師会も日本獣医学会も声明を出しておらず、東京都獣医師会が情報を積極的に発信しているのみだ。COVID-19の感染者が飼育するペットについてはそちらを参照ください。

    なお、産業動物の中では、ブタ、ニワトリ、アヒルに対して実験感染の実験を行っているものの、ウシ、ヤギ、ウマへはこの論文では実験されていないので影響は不明だ。

    詳しくは、無料で読めるので論文の本文を参照ください。なお、僕は論文の内容を紹介するだけですので、内容の賛否をこの場で議論するつもりはありませんのでご了承下さい。

    Bibliography

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