2018/10/1 乳牛の抗ミュラー管ホルモン濃度と受胎性が関連しているかを検討した論文を読んでみた


乳牛の抗ミュラー管ホルモン濃度と受胎性が関連しているかを検討した論文(10.3168/jds.2017-13940)を読んでみた。

  • 【背景】抗ミュラー管ホルモン(AMH)は卵胞の顆粒膜細胞で産生され、卵巣の卵胞数のマーカーとされている。乳牛の血中AMH濃度と繁殖成績との関係はいまだ不明瞭。
  • 【目的】①血中AMH濃度と関連のある要因を調査すること、②受胎率を予測できるAMHの閾値を確立すること、③AMHの濃度分類と受胎性との関係を調査すること、④AMH濃度と関連した量的形質遺伝子座(QTL)を明らかにすること。
  • 【材料と方法】7牛群のホルスタイン 経産牛647頭のAMH濃度を分娩後7日で測定。このうち、589頭で遺伝子型を同定。DIM, 産次、BCS、繁殖成績が揃っていた460頭のデータを使って解析した。
  • 【結果】①産次だけがAMH濃度と関連があった(116.2, 204.9 204.5, and 157.9 pg/mL for first, second, third, and ≥fourth lactation, respectively)。②受胎率を目的としてROC解析をやったが、閾値の設定はできなかった。③低AMH濃度群(<83.0 pg/mL; n = 92)、中AMH濃度群(≥83.0 to ≤285.0 pg/mL; n = 276)、高AMH濃度群(>285.0 pg/mL; n = 92)と分けて、受胎率、胚死滅率と250DIMまでの妊娠率との関連を見たが、関連は認められなかった( P/ AI (34, 43, and 40%), pregnancy loss between 30 and 60 d after artificial insemination (20, 12, and 8%), or pregnancy risk up to 250 d postpartum)。④AMH産生に関連した候補遺伝子を発見した(AMH gene on Bos taurus autosome (BTA) 7)。
  • 【感想】人では、AMHは原始卵胞の発育を抑制し、発育が未熟な卵胞におけるFSHの反応性を弱める役割があるらしい。

    今回の調査では個体ごとのばらつきが大きく、持って生まれた卵胞の数によるのかなぁ。でも、初産で一番低いのも納得がいかない。

    何にせよ、AMHで受胎性の評価は難しそうって結論は変わらないのだろうなぁ。ネガティブデータもしっかり出すことが大事なのだろう。

  • Bibliography

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