乳牛におけるOvsynchプログラムにおける2回目のPGF2aを追加する効果をメタアナリシスで解析した論文(10.3168/jds.2017-14191)を読んでみた。
【背景】OvsynchプログラムでPGF2aを1回のみ使用すると、12-20%の牛で黄体が十分に退行していないと報告されている。そこでPGF2aを2回投与する試験が行われており、十分な黄体退行は明らかになっているが、受胎率(P/AI)の有意な違いは示されていない。
【目的】乳牛におけるOvsynchプログラムにおける2回目のPGF2aを追加する効果をメタアナリシスで解析すること
【材料と方法】PGF2aを2回投与したランダム試験についての6の論文から7つのデータを得て、メタアナリシスにより黄体退行と受胎率を再解析した。なお、選択したOvsynchプログラムは、GnRH on day 0, PGF2a on day 7, GnRH on day 9, TAI on day 10(GnRHから12-20時間後) のもののみ。PGF2aを2回投与する場合は、day8に追加。
【結果】GnRH1回群よりGnRH2回群の方が、11.6%の差で有意に黄体を退行させていた(83.5% vs 95.1%, P = 0.001)。GnRH1回群よりGnRH2回群の方が、4.6%の差で有意に受胎率が高かった(34.0% vs 38.6%, P = 0.001)。
【考察】初回のGnRHで排卵して黄体形成するものは60%と報告されている。この新しい黄体はday 7のPGF2aでは黄体退行が不十分になると場合がある。2回目のPGF2a投与はこの新しい黄体を十分に退行させた結果生じていた可能性がある。また、これまでの研究では多少な差を検出するにはサンプル数が少なかった。そのようなときには複数の研究結果を統合するメタアナリシスは有効。
【結論】乳牛におけるOvsynchプログラムにおいて、2回目のPGF2aをday 8に追加すると、黄体退行がより促され、4.6%の差で受胎率を向上させる効果がある。
【感想】Ovsynchプログラムはあまり受胎率が良くなかったために行わなくなってしまった。一番多く行われているらしいが、大規模牛群で取り入られやすいためかなぁ。
Bibliography
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