乳牛におけるTHI、直腸温度、腟温度、乳房表面温度の関係を調査した短報(10.3168/jds.2017-13799)を読んでみた。
【背景】暑熱ストレスの指標としてTHIと直腸温度がよく用いられているが、直腸温度の測定は手間がかかる。データロガーによる腟温度、または非接触型体温計による乳房表面温度の測定の方が容易。
【目的】暑熱ストレス下における乳牛の、THI、直腸温度、腟温度、乳房表面温度の関係を知ること。
【材料と方法】搾乳牛を10時間の暑熱ストレス下に7日(実験1, THI=74~82)および21日(実験2, THI=69~83)間暴露し、THI、直腸温度、腟温度、乳房表面温度の関係を調査。
【結果】①午前より午後で体温は高い。②腟温度、直腸温度、乳房表面温度の順で体温が高かった。③THIと直腸温度または腟温度において、弱い~中程度の相関が認められた。④THIとの相関は腟温度の方が直腸温度より強く認められた。
【考察】腟温度が高いのは、血流量が多いこと、または深部への体温計挿入によるもの。乳房表面温度は環境の要因を強く受けていそう。
【感想】直腸温度以上に生殖器の温度は高いのかもしれない。”As indicated by the slope, a 1.0°C increase in vaginal temperature increased rectal temperature by 0.55 (experiment 1) and 0.50°C (experiment 2).”精子や胚は思っていた以上に熱の影響を受けている可能性が高そうだ。夏は腟温度の測定をしてみようかな。
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