乳牛におけるAI後2日におけるhCGがprogesterone濃度および受胎率に及ぼす影響を調査した論文(10.3168/jds.2017-14058)を読んでみた。
【背景】hCGは発情後5日で投与されることが多く、副黄体が形成され、P4値が上昇する。大規模なメタアナリシスによると妊娠率の上昇は3%ほどである。hCGの投与時期を検討した研究では、発情後2日で最も黄体形成が促され、P4値が上昇していた。
【目的】AI後2日におけるhCGの一回投与がprogesterone濃度および受胎率に及ぼす影響を明らかにすること。
【材料と方法】CIDRにより同期化し、ランダムにhCGを投与した(Control, n = 408; hCG, n = 391)。繁殖指標は受胎率(P / AI)、P4値など
【結果】hCG投与によりP4値は発情後7日で22.2%、発情後14日で25.7%上昇した。しかし、受胎率(P / AI)はhCG投与で有意に低かった(Control, 55.1%; hCG, 46.3%)。
【考察】P4上昇は主要な黄体の機能を強めたためだろう。受胎率を下げてしまった要因として、①理想的なP4値を超過した、②胎児と子宮環境の不一致等が考えられる。
【感想】hCGの投与は発情後5日に打ち、副黄体形成による「P4値のわずかな上昇」が受胎率を上げるために有効か。
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