2018/5/26 焼灼による除角に対する局所麻酔または鎮痛剤の効果についてのメタアナリシスの論文(29550129)を読んでみた。
【背景】除角の方法の70-89%は焼灼法であるが、局所麻酔や鎮痛剤の使用に対する一貫した指針はないことから農場や獣医任せのやり方になっている。
【目的】 焼灼法による除角時の局所麻酔や鎮痛剤(NSAIDs)が、子牛の疼痛に及ぼす影響を調べること。
【材料・方法】 過去の文献のシステマチックレビューおよびメタアナリシス。最終的に21論文の23の実験結果を使用した。疼痛を評価する項目はcortisol濃度、除角部位の圧迫、行動(ear flick耳パタパタ, head shake首振り, head rub頭擦り, foot stamp足踏み, and vocalization咆哮)。
【結果】局所麻酔薬によってcortisol濃度は除角後0.5-1時間後においてコントロールより有意に低下していたが、それ以降は変化がなく、4時間後においてコントロールより有意に増加。NSAIDsによってcortisol濃度は除角後4時間後においてコントロールより有意に低下していたが、24時間後においてコントロールより有意に増加。
局所麻酔薬およびNSAIDsの併用によって耳パタパタは除角後3および4時間後においてコントロールより有意に低下していた。首振りも除角後6時間後においてコントロールより有意に低下していた。
Heterogenesityはいくつかのメタアナリシスで認められた。
【著者の結論】 3か月未満の子牛に対する焼灼除角時は局所麻酔薬およびNSAIDsの併用が最も疼痛を減らすことができる。
(NSAIDsはcarprofen, dexketoprofen, firocoxib, flunixin meglumine, ketoprofen, meloxicamで報告があり、多くが除角前に投与されていた。どれも高価な薬剤だから、経済的な側面がどうしても頭に浮かんでしまうなぁ。動物福祉の観点からは使用した方が良いのだろうな。特に、3か月を超える除角ではなおさらだろう。)
Bibliography
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