オーガニック酪農場におけるハエ吸引トラップの効果を検討した論文(10.3168/jds.2017-13367)を読んでみた。
【背景】ノサシバエは牛体に強く依存して生活していて、乳量や子牛の発育に悪影響を及ぼしている。また、サシバエは足でよく吸血をし、酪農業界に多大な経済的被害を及ぼしている。Face fly(イエバエの仲間)涙等の体液を吸って生活しており、眼の感染症を媒介する。
【目的】 オーガニック酪農場におけるノサシバエ、サシバエ、Face flyを制御するために、ハエ吸引トラップの効果を検討すること。
【M and M】 8オーガニック酪農場でCowVacというハエ吸引トラップ装置を2か月間設置し、有無によるハエ類の数と産乳成績を比較。
【結果】ノサシバエは44%減少したが、サシバエとFace flyの数はあまり変化が見られなかった。ノサシバエの個体数の増加率も減少した。しかし、産乳成績に著変は認められなかった。
【著者の結論】 CowVacというハエ吸引トラップ装置はノサシバエを減少させる効果があるものの、ノサシバエの密度が薄いならば産乳成績に好影響は見られない。
(サシバエに対してはそこまで効果が出ていなくて残念。サシバエの単位が、flies/legであることが興味深い。過去の肉牛の文献(10.1093/jee/80.1.117)ではサシバエは2匹/leg以下でないと、増体に悪影響があるようだ。対策をしていない酪農場ではすごい数だよなぁ。影響はやはりあるのだろうなぁ。)
Bibliography
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