乾乳期の間のBCS変化が乳牛の分娩後の健康状態や成績について及ぼす影響についての論文(29550131)を読んでみた。
【背景】分娩前の期間は搾乳牛の健康や成績に大きな影響を及ぼしている。分娩前にDMIが落ちている牛では自然免疫力が低下し、疾病に罹患しやすいことが分かっている。しかし、大規模酪農場では個体毎にDMIを把握するのは困難なため、BCSでの評価が行われている。
分娩時の低BCSは低乳量や低受胎性と、一方、分娩時の高BCSも代謝性疾患と関連がある。しかし、乾乳期の間のBCS変化が乳牛の分娩後の健康状態や成績について及ぼす影響についてはよく分かっていない。
【目的】 ホルスタイン種経産牛の乾乳期の間のBCS変化が分娩後の健康状態や繁殖および産乳成績に及ぼす影響を調べること。
【M and M】 データは9950頭の延べ16104回分の分娩の記録を使用した。指導を受けた従業員が、牛の乾乳時と分娩時にファーガソンの方法でスコアを付けた。
牛は重度BCS低下(∆BCS ≤−0.75; n = 1,604)、中度BCS低下(∆BCS = −0.5 to −0.25; n = 6,430)、BCS変化無し(∆BCS = 0; n = 4,819)、BCS増加(∆BCS ≥0.25; n = 3,251)に分類した。
【結果】重度BCS低下、中度BCS低下、BCS変化無し、BCS増加の順で繁殖成績(初回授精受胎率、2回目以降受胎率、流産率)が悪かった。産後の生殖器疾患の発症リスクも重度BCS低下(0R=1.68)、中度BCS低下(0R=1.24)でBCS増加の牛よりも有意に高かった。産後の生殖器疾患の発症リスクの多変量解析で影響していた∆BCS以外の要因は子牛の性別、双子の有無、妊娠期間、乾乳期間だった。
BCS変化を起こさせる要因は、ほぼ乾乳時BCS(94.7%)だった。乾乳時BCSを決める要因は、酪農場(38%)、産次(44%)、泌乳量(14%)だった。
【著者の結論】 乾乳期の間のBCS変化が乳牛の分娩後の健康状態や成績に大きな悪影響を及ぼしていた。
(分かっているような研究の内容だが、詳細なデータ解析、データ数に驚かされた。話にも一貫性がある。乾乳期間も48-69日が一番良いというデータも見たことがなかった。)
Bibliography
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