血液中のGlucose, NEFA, BHBAと産後の子宮疾患、繁殖成績、乳量の関係を検討した論文(10.1016/j.theriogenology.2016.09.036)を読んだ。
・一農家の181頭の牛(108頭の乾乳牛、73頭の初妊牛)を使用。血液は分娩の-50, -6, 3, 7, 14日に採取し、血漿を用いてGlucose, NEFA, BHBAを測定。子宮疾患の指標として、胎盤停滞、子宮炎、膿性腟流出物を調べた。
・初産牛と経産牛の子宮疾患の有無別にGlucose, NEFA, BHBAの推移を評価。
・胎盤停滞の発症牛は健康牛より血糖値が高い傾向にあった(初産牛では-6, 3, 7, 14日、経産牛では-50, 3日で有意差あり)。NEFA, BHBAでは変わらなかった。子宮炎の発症牛は健康牛より血糖値が高い傾向にあった(初産牛では-6, 7日、経産牛では3, 14日で有意差あり)。NEFA, BHBAでは変わらなかった。膿性腟流出物の発症牛は健康牛より血糖値が高い傾向にあった(経産牛のみで3, 7, 14日で有意差あり)。NEFA, BHBAでは変わらなかった。
・7日の血糖値と産後1週目乳量(R = 0.31; P < 0.001)、14日の血糖値と産後2週目乳量(R = 0.27; P = 0.001)には負の相関があった。
・結論として、負のエネルギーバランスの指標として使われているGlucose, NEFA, BHBAのうちGlucoseのみが子宮疾患と関係があった。
繁殖成績を規定する評価ポイントがどんどん前倒しになってきているナ。胎盤停滞、子宮炎、膿性腟流出物は密接に関係しているので、同じ牛を繰り返し評価した結果になっているのではなかろうか。