2017/5/18 肉用牛未経産牛における分娩誘起が分娩後の状態に及ぼす影響


肉用牛未経産牛における分娩誘起が分娩後の状態(分娩までの時間、膿性流出粘液、細胞学的子宮内膜炎、卵巣周期の回復、子宮の回復)に及ぼす影響を調べた論文(10.1016/j.theriogenology.2015.12.026)を読んだ。

・81頭の肉用牛の交雑種を使用。胎子はシンメンタールの受精卵移植により受胎。胎齢285日の時点でCON群(無処置)、COR群(Dexamethasone 40mg)、COR+PG群(Corticosteroid 40mg + cloprostenol 500 μg)に分けた。分娩までの時間、分娩難易度5段階、分娩後21および42日時点でのメトリチェックによる膿性流出粘液、サイトブラシによる細胞学的子宮内膜炎、エコーによる卵巣周期の回復および子宮の回復で評価。
・分娩までの時間はCON群で161.9時間、COR群で39.7時間、COR+PG群で32.6時間。COR群とCOR+PG群間に有意差はなし。分娩難易度も群間に有意差なし。死産や胎盤停滞はほとんど発生せず、群間で有意差なし。
・分娩後21日時点での膿性流出粘液はCON 52%, CORT 70%, CORT+PG 52%。分娩後21日時点での細胞学的子宮内膜炎はCON 24%, CORT 48%, CORT+PG 48%。分娩後21日時点での卵巣周期の回復はCON 52%, CORT 59%, CORT+PG 29%。分娩後21日時点での卵巣周期の回復はCON 52%, CORT 59%, CORT+PG 29%。分娩後21日時点での子宮の回復はCON 69%, CORT 48%, CORT+PG 32%。
・結論として、Corticosteroidを利用した分娩誘起は効果的で安全。ただし、PGF2αを併用することで子宮感染の増加、子宮回復の遅れ、卵巣周期回復の遅れがみられる可能性が有る。

分娩誘起の働きがCorticosteroid主体であったことに驚いた。元気な牛にはPGF2αは不要ってことかな。でもDexamethasone 40mgはビックリするぐらいの大容量に感じてしまうけど、このぐらい打たないと本来は効かないのだろうなぁ。

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