2017/5/13 急性子宮炎に対する治療として、ケトプロフェンがセフチオフルの代替になるのか


乳牛の分娩後の急性子宮炎に対する治療として、ケトプロフェン(解熱鎮痛消炎剤)がセフチオフル(抗生物質)の代替になるのかを検討した論文(10.3168/jds.2015-10775)を読んだ。

動物用医薬品データベースを見ると、2017年5月時点では牛用のケトプロフェンは発売されていないようだ。

・6農場の610頭のホルスタイン種のデータを使用。188頭が初産、422頭が2産以上。Acute puerperal metritis (APM)の定義は、分娩後10日以内に39.5度以上で赤茶の水様悪露を排出していることとした。APMは診断時にランダムでketoprofen (3 mg/kg of BW)またはceftiofur (1 mg/kg of BW)を3日間投与。3日間の治療でも39.5℃以上の牛は、追加治療を行った(ketoprofen3日またはceftiofur2日)。分娩後21-40日でメトリチェックによる膿性流出粘液(PVD)の5段階評価。追加治療、PVD、その後の乳量、繁殖成績を指標に解析した。

・APMは16.6%(農場により7.2-38.1%の幅)だった。追加治療はketoprofenで3.43倍多かった。平均治療回数はketoprofen(4.83回)はceftiofur(3.63回)より有意に多かった。PVD罹患率に差は見られなかった。その他、初回授精受胎率、乳量、初回授精日数、分娩後200日までの累積受胎率に治療による差は見られなかった。

・結論として、ketoprofenでは治療は多くなるものの、ceftiofurと同等の効果を得た。KetoprofenによるAPMの治療は抗生物質の使用量を減らせる可能性がある。

臨床現場のデータを使っていると、追加治療の効果とか薬剤内容をどう考えるかに頭を悩ますことも多いが、「追加治療」と「診療回数」を指標にすることでこの問題に対応している。面白いなぁ。また、PVDが暖かい季節で増えるデータが載っており、季節性は大いに検討する必要がある。

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