各種の生殖器検査結果とTrueperella pyogenes(TP)の検出、受胎性との関係を調べた論文(10.1016/j.theriogenology.2015.09.043)を読んだ。またしてTPだ。畜産現場からはつきものの細菌だ。
・一酪農家の452頭のホルスタインを使用。分娩後35日でBCS測定、各種生殖器の検査を行う。Purulent vaginal discharge (PVD)はメトリチェックによるスコア0-3で評価。スコア3をPVD陽性とした。灌流液は20mLの生理食塩水を入れて子宮内容の含まれた液体を回収し0-2で評価。スコア2をpurulent uterine lavage (PUL)陽性とした。回収した灌流液はTPの選択培地で菌の有無を培養。回収した灌流液は細胞学的子宮内膜炎の診断にも使用(5%以上の多核の好中球)。繁殖成績は分娩から受胎までの日数、分娩後300日までの受胎の有無で評価。
・PVD陽性、PUL陽性、細胞学的子宮内膜炎ではTPが有意に多く検出されていた(表1)。生存分析(受胎までの日数)ではTP、PUL、PVDの有無で有意な差を認めた。分娩後300日までの受胎の有無を目的変数として多変量解析するとPVDだけが有意な変数として選択されていた(表2)。PVDと細胞学的子宮内膜炎で相乗的な悪影響が有った。
・結論としてTP陽性の牛では繁殖成績に悪影響があり、これはPVDとPULを増加させている可能性が有る。
得られる情報を上手に使った研究で有ると感心した。TPの検出をターゲットにするのは選択的で取り組みやすいな。