Estradiole濃度は乳牛の産後の各種子宮・腟検査結果に影響しているのかどうかを検討した論文(10.3168/jds.2015-10483)を読んだ。
・268頭のホルスタイン種を30日と44日で検査(BCS、血液検査、生殖器検査)。生殖器検査は細胞学的子宮内膜炎、膿性腟粘液(メトリチェックの5段階評価でスコア3以上)、子宮頸の太さ、子宮角太さ、子宮内腔を調べている。κ係数(kappa statistic)による各種検査の一致度の検討。また、乳量や繁殖に及ぼす影響を検討。
・細胞学的子宮内膜炎とその他の検査結果の一致度は低かった(Table. 2)。膿性腟粘液陽性と一致度が最も高かったのはエコーによる子宮内腔有だった(κ=0.25-0.39、Table. 3)。分娩後30日でのEstradioleが2pg/ml以上の方が、膿性腟粘液陽性になる牛が多く、また細胞学的子宮内膜炎陽性と子宮内腔有の一致度が高くなった。
・分娩後30日での細胞学的子宮内膜炎陽性と子宮内腔有で、分娩後45日までの乳量を減少させていた。分娩後44日での検査結果は乳量と関係が無かった。
・分娩後30日での膿性腟粘液陽性や子宮内腔有は繁殖成績に影響を及ぼさなかったが、分娩後44日での膿性腟粘液陽性は繁殖成績を低下させていた。一方、分娩後44日での細胞学的子宮内膜炎や子宮内腔有は繁殖成績に影響を及ぼさなかった。
各種検査の評価はκ係数を使うのが良いのか、感度と特異度で評価するのとどちらがよいのだろうか。調べなければいけないナ。また、検査結果だけでは片手落ちで、やはり繁殖成績までくっつけないとDairy scienceには載らない。うむむ。