乳牛における産後のセファピリンの子宮内注入が膿性流出粘液と子宮内膜炎の治療として効果があるのかランダム試験を行った論文(10.3168/jds.2014-9129)を読んだ。
・カナダの28農場の乳牛を分娩後35日で膿性流出粘液と子宮内膜炎の診断を行った。膿性流出粘液はMetricheckの5段階評価。子宮内膜炎は細胞学的診断または白血球エステラーゼによる診断。分娩後35日と49日に血液検査で排卵の有無を検討。分娩後35日でランダムでセファピリンの子宮内注入を実施。その効果を初回授精受胎を指標に重回帰分析を行った。
・産次、排卵、セファピリン注入、膿性流出粘液、子宮内膜炎の項目で有意差が認められた。膿性流出粘液および子宮内膜炎がない牛ではセファピリン注入の有無で受胎率は変わらなかったが、膿性流出粘液陽性(14.5% vs 30.9%)または子宮内膜炎(16.6% vs 25.9%)の牛ではセファピリン注入により受胎率は有意に上昇していた。排卵のあった牛ではセファピリン注入により受胎率は有意に上昇していたが、排卵のなかった牛では受胎率は変わらなかった。
・セファピリン注入は膿性流出粘液と子宮内膜炎に効果があり、排卵の有無がその効果に影響を及ぼしているという結論。
データ数も十分だし、研究デザインも美しい。結論もシンプル。