2017/4/9 分娩後の膿性腟粘液排出牛に対する選択的治療


分娩後の膿性腟粘液排出牛に対する選択的治療の効果を検討した論文(10.1016/j.theriogenology.2013.02.002)を読んだ。

・ニュージーランドでは分娩後の”フレッシュチェック”に腟内粘液検査が行われており、陽性牛では卵巣状態に関係なく子宮注入用セファピリンの投与(無選択治療)が行われている。抗生物質の慎重利用のため、黄体の有無による選択的治療でも代替できるのかどうかを検討した。選択的治療では黄体ありでPGF2a投与、黄体なしで子宮注入用セファピリンの投与。
・コマーシャル農場の放牧乳牛15000頭をスクリーニングし、VDS陽性牛のみ研究に使用。スクリーニングは分娩後14日以降、約4週間までが含まれている。VDS評価はメトリチェックの5段階調査。無処置が繁殖成績に悪影響があるのが明白なため、無選択治療群と選択的治療群で検討。
・結果、両群に繁殖成績の違いは認められなかった。抗生物質の慎重利用と経済性からは、黄体の有無による選択的治療を推奨している。

日本においては”フレッシュチェック”は言葉だけしか普及していないように思う。とても現場向きの研究で好印象。Cognosco, Anexa Animal Healthは獣医療の提供をメインであるものの、しっかり研究を行う動物病院なのかな?こういうスタイルに憧れるなぁ。調べてみると、この組織に研究部門があり、この論文の著者が立ち上げたようだ。

僕の会社の研究会(紫葉会)もこのレベルで論文をガンガン出せる状態になれると良いのだが。

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