動脈血と静脈血


研究サンプルのために成牛の尾から採血を行っている。
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採血管を並べると、どうにも静脈血ばかり取れている気がしてならない。この日は、9検体中6検体が静脈血であった。

なぜ静脈血ばかりとれるのだろう?疑問に思ったので少し調べてみた。

家畜診療誌59巻7号のワンポイント質問に「動脈血の採血法」が掲載されている。以下、要旨を自分なりに抜粋する。


正中尾動脈と正中尾静脈は並走しており、尾の近位では左側に動脈、右側に静脈が走行している。しかし、しかし、遠位に向かうにつれて交差し、最終的に左右が逆転する(左側に静脈、右側に動脈)。その交差部位が第三〜第六尾椎で、浅い部分を動脈、深い部分を静脈が走行している。

動脈血を選択的に採血するためには、5mLシリンジと23G針の組み合わせで、第三〜第六尾椎に鋭角に浅く針を進める。動脈に針が入れば、動脈内の圧力により、内筒が押し出されるために選択的な採血が可能となる。


つまり、僕が採血を行っている第三〜第五尾椎は動脈と静脈の交差部位に当たる。採血時は垂直に、深く針を刺入し、真空採血管を用いている。だから、正中尾静脈の血液ばかり採血をしていたものと考えられた。

素朴な疑問にもちゃんと理由があったのである。

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