新生子牛の骨折


生まれたばかりの子牛が全く肢をつかないと診療依頼があった。

20151128-143323.jpg
同僚がギプス固定を施すも、遭えなく子牛は死亡してしまった。患部の状態を知るために、解剖させていただくことにした。肘関節の遠位で骨折している様子で、癒合は全くしていない。

20151128-143416.jpg
皮膚と筋肉を取ると、橈骨と尺骨が完全に折れていた。

20151128-143449.jpg
これらの骨を煮沸して骨折の状態を精査した。骨折の分類は、骨幹部骨折、完全骨折、閉鎖骨折、単独骨折、粉砕骨折そして圧迫骨折であった。

20151128-143506.jpg
分娩介助時の無理な牽引に伴う骨折は、中手骨や中足骨の骨端骨折が多い。今回の症例は生後すぐに、肘関節の遠位に強い圧力がかかったことによる骨折であることが分かった。よって、成牛に踏まれたものであることが推測できた。

「新生子牛の骨折」への2件のフィードバック

  1. 曝骨標本まで作られたのは助ける方法がなかったか検討されているのだと思います。橈尺骨の粉砕骨折ですね。手強いですが、骨幹端には固定に使える部位が充分あるようですので、LCP2枚で内固定すれば治せると思います。あるいはLCP1枚ならトマススプリントとの併用でしょうか。

  2. hig先生
    コメントありがとうございます。ブログの仕様を変えてしまっていたため、コメントが保留されており、気付いておりませんでした。大変失礼いたしました。

    プレートのアドバイス、誠にありがとうございます。先生のブログを見ていて、プレートでの固定の重要性を強く感じています。

    しかし、残念ながら、当診療所(団体)にはレントゲンを撮る設備すらなく、なかなか敷居が高いのが現実です。何とか、外科技術を向上させたいのですが、そこで停滞してしまっています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*