たまたま同じに日に、腫物を稟告とする診療依頼が2件あった。大抵の腫物は臀部であるが、あまり遭遇しない位置にあった。
まずは1頭目。フリーバーン牛舎で、耳の裏側の頸部両側に腫物が有り、スタンチョンに入りたがらないそうだ。
確かに、触るとひどく痛がる。波動感があるので、切開することにした。
膿かと想像していたが、赤っぽい漿液を排出し、さらに変性した皮下組織を摘出した。両側共に500mLは溜まっていただろうか。
次は、タイストールの牛舎であった。分娩間近の牛の左腹部に腫物が有った。こちらは、出っ張っているだけで、ほとんど痛がらない。
白い毛なので、写真だと分かり辛い。
上から見るとポッコリと直径約20cmの腫物があることが分かる。
痛がっていないし、分娩まで様子を見ようと思ったが、吸引した結果、内部は膿で有ることが分かった。切開し、約2Lの悪臭を放つ膿汁を排出し、洗浄した。
牛にもよるのだろうが、ドロドロの膿瘍は痛がらないで、血漿が貯留している腫瘤は痛がる例は結構ある。少し不思議な気がしないではない。