順気療法に用いているアノ穴の正体


本日は講義のため、午前中に仕事をしてから久しぶりに上京した。本日の講義は嗅いとフェロモンについてであった。

そこで頻繁に取り上げられていた鋤鼻器について、驚くべき事実に気付き、大変衝撃的であった。


さて、鋤鼻器Vomeronasal organとは何か?

「哺乳類では、ヒトを含む高等霊長類・一部のコウモリ類・クジラを含む水棲哺乳類などを除くほとんどのグループで鋤鼻器が機能しており、鼻中隔の前下部に存在する。哺乳類の鋤鼻器は一般的な嗅覚を感じるのではなく、フェロモン様物質を受容する器官に特化していると考えられている。

多くの齧歯類では鋤鼻器の開口部は鼻腔に開くが、その他の哺乳類の場合、鼻口蓋管(びこうがいかん)と呼ばれる管で口蓋部に開口する。空気中のフェロモン物質を鋤鼻器に取り入れる際、イヌやウマなどの動物ではフレーメンと呼ばれる独特の表情をすることが知られている。」by Wikipedia(日本版)

“Some mammals, particularly felids and ungulates, use a distinctive facial movement called the flehmen response to direct inhaled compounds to this organ. The animal will lift its head after finding the odorant, wrinkle its nose while lifting its lips, and cease to breathe momentarily. Flehmen behavior is associated with “anatomical specialization”, and animals that present flehmen behavior have incisive papilla and ducts, which connect the oral cavity to the VNO, that are found behind their teeth. “by Wikipedia

演者の話によると、反芻類では鋤鼻管への穴は鼻腔と口腔に開口しており、それぞれ揮発性物質と水溶性物質を感知しているらしい。口腔内に開口した管は切歯管Incisive canalと呼ばれている。そして、牛も歯状板に開口しているそうだ。

まさか、まさか、である。以下、以前に2012年に投稿した順気療法についての記事から抜粋する。
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順気療法は、このような柳の枝を牛の歯状板に空いた穴に入れる。

柳の枝は、葉を削ぐと30cmに及ぶ。

この穴は唾液腺の開口部なのだろうか?詳細はまだ調べていない。
しかし、この刺激によりツボが刺激されるのか、第一胃のガスが排出されるらしい。
ちなみに、順気療法は、文献に裏打ちされた立派な医療行為である。
消化器疾病に対する穴療法(順気療法)の治療効果
順気針療法の前胃病患への応用 −特にルーメンが原因とみられる慢性鼓脹症の治療効果について−
牛の胃腸疾患に対する順気針治療について

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ということで、順気療法に使っている牛の歯状板に空いた穴は切歯管であり、鋤鼻管という盲端につながっている。そして、そこには嗅覚受容器がある鋤鼻器が存在している。

そこに柳の細い枝を挿入するとどうなるのであろう?物理的に鋤鼻器を刺激しているとしたら、どんな効果があるのだろうか?ただの違和感でゲップするのかと思っていたが、違う側面もあるのかもしれない。

なお、鋤鼻器の受容体は嗅球に投射しており、そこから偏桃体へ投射している。そして偏桃体は情動行動に関与しているそうだ。

いろいろと想像が広がり、僕にとっては楽しい講義であった。

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