3週間くらい前の話であるが、分娩からかなり時間の経っている牛が食欲不振であると往診依頼があった。行ってみると、熱中症に加え、左後肢のナックルが認められた。
・整復前の患肢
支配神経(総腓骨神経、脛骨神経)に痛覚はあり、屈曲反射も正常であった。下腿筋にも腫脹は認められなかった。自然と治るかと数日様子を見たが、ナックルは変わらなかったため副木による矯正を行うこととした。
・BOS副木にて整復中
実習で来ていた北里大学の学生さんに肢を保定してもらったり、肉体労働を手伝ってもらいながらBOS副木とプラスチック包帯で固定した。当然、矯正されているので治っているかのような姿勢になっている。
・BOS副木除去後の患肢
固定をすること12日間の後、副木を除去した。夕方に、畜主から電話が有り、「ナックルが治っているぞ!」と嬉しいご報告があった。そう言って喜んでもらえると、こちらも嬉しい。
今回は超音波画像診断装置で下腿筋の損傷をしっかり調べなかったので、ナックルの原因が不明瞭なのが少し悔やまれた。まぁ、夏は忙しいので、そうも言っていられないかな。
・参考文献
乳牛8頭に発生した後肢ナックルの原因診断と整復適応症例の検討
家畜診療61(8), 469-476, 2014