悩んだ酵母の乳房炎


診療していた乳房炎の牛が抗生物質に反応せずに、40℃以上の発熱が続き、乳房の腫脹も治まらない。その割に食欲はそこそこあり、ちょっと違和感を覚えたので乳汁を採取して培養を行った。おそらく酵母だろうな、と。

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しかし、ビックリすることに、クロモアガー酵素基質培地には水色のコロニー。一瞬、バチルスsp.かと思ったが、コロニーのサイズは明らかに小さい。なんだこりゃ?

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簡易グラム染色を行うと、大きなこん棒状の菌体であった。芽胞のような菌体が白く抜けている部分まであるため、バチルスsp.かと脳裏をよぎる。しかし、菌体が明らかに大きいような…、いくら何でも大きすぎる。

しばし悩み、以前にも一度だけこの染色像を見たことがある気になった。まさか、菌糸では??酵母が発育したものではなかったか?よく見ると、いつも見る酵母の菌体もわずかにある。

念のため薬剤感受性試験を行うも、全く抗生物質が効いておらず、酵母の特徴であった。

細菌検査に詳しい獣医師に写真を問い合わせをすると、やはり酵母であろうとの事であった。水色のコロニーも珍しい例で、危うく間違えるところであった。

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