分娩予定が近い未経産牛が起立不能になったと往診依頼があった。見に行くと元気・食欲は有り、介助により起立した。
だが、右後肢の姿勢がおかしい。球節が過度に進展し、巻き爪のように外蹄で負重している。痛がる様子はないのだが、負重が良くない。原因はこれだろう。
後ろから見ても、右後肢の球節が沈んでいる。先天性の腱または骨格の異常であろうか。
David E. Anderson(2008)の総説”Management of Tendon Disorders in Cattle”には、球節の過進展への治療法にも触れている。先天性の軽度の症例については運動制限を、それでも治らない場合には木片を蹄に装着するそうだ。以前に、子牛における球節の過進展では運動制限で治った。しかし、今回の症例では、今更運動制限で治るわけはあるまい。
蹄踵に木片を装着して矯正してみるしかないかな…。