今朝は寝てるうちから診療依頼があった。成牛が股を開いてしまったらしい。
農家に着くと、その牛は両後肢を外方へ完全に開脚して座っていた。ありゃありゃ、嫌な予感しかしない。伏臥に直し、すぐに股関節脱臼の診断を行った。まずは神経学的検査をするが屈曲反射はない。痛覚検査(pin prick test)でも、坐骨神経領域以下に反応なし。肢を回転させると、股関節から明瞭な異常音がした。明らかに股関節の完全脱臼であった。残念だが、これでは助かる見込みはない…。
*12/9追記:音源をmp3に変更しました。
骨と骨がゴリゴリと擦れるような音と感覚がした。それは、畜主がすぐに分かり、諦めるほどの異常音と異常可動であった。聴診器を当てて録音したが、音が大きすぎて逆に分かり辛いかもしれない程だ。教科書に載るような典型的な症例であった。