眼球から何かが飛び出していると診療依頼があった。
当初、ピンクアイかと思い抗生物質の点眼を指示したが、どうにも違和感を覚えた。調べてみると、秋季結膜炎が非常に疑わしい。Setaria digitataというフィラリアの一種が眼球へ迷入することで炎症反応が起こっているらしい。
蚊が媒介者であり、刺されてから約一月で成虫になる。だから、蚊の好発時期の後である秋に発生が見られる。なるほど。
The Life Cycle of Setaria Digitata
駆虫していれば問題ないようだ。
秋季結膜炎
Setaria digitataによる眼球への感染の論文は2002年に韓国からの報告がフリーで読める。わずか2例の報告だ。
J Vet Med Sci. 2002 Jan;64(1):7-10.
それに対し、日本では1984年に岡山の診療所の先生方が5年間で35例も集めて発表している。こちらは家畜診療誌。
牛の秋期眼結膜炎−その病態と病因について
実にもったいないなぁと感じてしまうのは僕だけではあるまい。