先天性屈腱短縮症の記事を書いた時、参考にした総説に面白い治療法が載っていた。気になっていたので、早速試してみた。
両前肢に先天性の球節のナックルを認めた。5日程様子を見ていたが治らず、寝てばかりいるとの診療依頼であった。典型的な屈腱短縮症だ。何とか起立はできるが、うまく起立が維持できない。
蹄にテクノビットをつけ、蹄を伸ばすように形を作る。
麻酔から覚めると、見違えるように起立が良化した。球節は曲がっているが、蹄が伸びた分、負重できるようになっている。
先天性の屈腱短縮症は、負重さえできていれば、腱に張力がかかり、漸次伸びて改善していく。今回の牛も、たった3日つけていただけであったが、その間の運動で腱は伸びたようであった。テクノビットが取れてしまったと連絡が来たのだが、再度つける理由がすでに見当たらなくなっていた。
これは簡便で素晴らしい方法だ。元ネタは以下である。
Management of tendon disorders in cattle.
Anderson DE, Desrochers A, St Jean G.
Vet Clin North Am Food Anim Pract. 2008 Nov;24(3):551-66