1/7 後上方股関節脱臼の剖検


産後数日経つ牛が、股を開いてしまい立たないと診療依頼があった。
血液検査ではやはり、Ca濃度は正常値で、吊起すると起立は出来たが、すぐに崩れるように座ってしまった。
股関節脱臼の診断のため、肢を回転させるに、それは見事な位に異常可動を認め、異常音を聴取した。これにより、股関節脱臼によりもう立てないと診断した。


しかし、その翌日、この牛は自力で起立した。
そして、2日ほどして再び起立不能となったため、再び脱臼の診断を行った。

後肢に普段は見ない皺が現れ、異常な屈折がある。

吊起すると、負重は非常に悪く、起立出来ない。大転子の位置はずれていないように感じた。
そして、右後肢を回転させると、異常可動と異常音は変わっていなかった。やはり、股関節脱臼と診断した。


この牛はと畜場搬入前に死亡してしまった。そこで、肢を解剖させていただいた。

寛骨臼(白矢印)から、大腿骨頭(黒矢印)が約6cm程、見事に外れていた。
これにより、右後肢の後上方股関節脱臼と判明した。剖検は非常に勉強になる。

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