産前の乳房炎の診療依頼があった。
食欲不振と発熱、乳房に腫脹、二つの罹患分房に多量の凝固物を認めた。Arcanobacterium pyogenesの関与を強く疑った。
写真上は酵素気質培地と血液寒天培地、写真下は食塩卵培地。二つの分房からは違う菌が検出された。右側は予想通り、Arcanobacterium pyogenesであった。では、左の水色のコロニーが生えているものは?食塩卵培地にも生えている…ので、ブドウ球菌か??
両方とも完全溶血…。
染色すると、グラム陽性桿菌で、芽胞を認めた。バチルスであった。
バチルス、食塩卵培地でも生えることを失念していた…。
教科書で確認すると乳房炎の原因になるのはBacillus cereusで、確かに食塩卵培地で生えるようだ。
なお、この牛は乳房洗浄と抗生物質の投与で、症状は治まった。分娩後、乳房炎が治って搾乳できるようになっているとよいのだが。