産後ではない牛が起立不能だと診療依頼があった。
診療へ行くと、牛は空き地に出され座っていた。顔付きは悪くないので軽く起こしてみると、自力で立つことができた。
畜主に連絡すると、そのまま牛群に戻すと言い、研修生が牛を引いていった。大事に至らなくて良かったと、胸を撫で下ろしていた矢先に事件が起きた。
牛が元気に走り出し、研修生が置いて行かれてしまった。牛を止めようとする研修生は頭につながったロープを強く引いた。首を折りたたまれるように引っ張られた牛は、大きくよろけ、通路脇の斜面で倒れてしまった。成牛は体重が600キロをこす。牛が滑り落ちるのに抗うことはできなかった。ズルズルと斜面を下り、行き着く先は水路だった。…最悪だ。人為的に事故を作り出してしまった。
牛は水路に見事にはまった。身動き取れないのがせめてもの幸い。診療所へ戻り、カウリフト持ってトンボ帰りをした。なんとかトラクターで吊り上げ、救出した。
そして牛はトラクターに引かれて帰っていった。牛は八割が黒くなっており、そこまで浸水していたようだ。
…って、全然起立不能なんかじゃないじゃないか!!よりによって、日直の日にこんなことにならないでほしかった。。。