1/7 稟告の重要さ


昨日、日が沈んでから、畜主より電話があった。
畜主「さっきからお産みたいなんだけど、進んでこないんだよ。手を入れてみたら、産道は開いて来ているんだけど、胎子が遠くって。まだ早いのかな?」
僕「んー、産道が開いてきてるなら、まだ早いのかもしれないですね。後は、行ってみないとなんとも分からないですね。行きましょうか?」
畜主「んー、もうちょっと様子見てみる。」
僕「分かりました。何かあったら連絡くださいね。」
その夜、何も連絡はなく、てっきり何とかなったのだと思っていた。
しかし、明け方に電話で起こされた。新人さとちゃんからだ。昨日の畜主からお産の依頼で、行っていたらしい。
さとちゃん「子宮捻転なんですけど、どうしましょう?」
僕「…すぐ行くわ。ちょっと、整復しててみな!」
現地に着くと、さとちゃんのファインプレーで、ちょうど整復されたところだった。そのまま牽引し、母子共に無事であった。しゃんしゃん!
非常に反省する点の多いやり取りであった。「胎子が遠い」ってところで、なぜ気付いてあげられなかったかな?きっとその時点から子宮捻転だったのであろう。


午後から診療依頼があり、向かうとその牛は飼槽に這い出ていた。
産後一月のこの牛は、昨夜から熱発して餌を食べなくなり、朝からフラフラしていたという。牛乳は出ないと思って、昨夜から搾乳していなかったらしい。
眼球陥凹、眼球充血、皮温は低下、心拍数は亢進、体温は39.5度、起立不能になっていた。
乳房を調べると、腫脹、硬結があった。牛乳を調べると、白ではなく、ワインレッドの(赤い)牛乳になっていた。

これはひどい。おそらく、急性の大腸菌性乳房炎により、ショック状態であり、治る確率は低いと説明した。この牛は治療せずに淘汰することになった。

原因菌を念のため調べると、大腸菌ではなく、なんと黄色ブドウ球菌であった!
黄色ブドウ球菌は伝染性乳房炎として有名だが、急性発症で壊疽性乳房炎になるものもあるらしい。
この菌でのショック症状には、初めて遭遇した。それはそうと、僕の予測した大腸菌ではなかった。治療していたら治っていたのかもしれないと悔やまれる。


獣医として、僕はまだまだ未熟のようだ。がんばろう。
(1/8 本文の一部をサラッと訂正)

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