東京島
桐野 夏生著
無人島に漂着した1人の女性と男たちの話。決してあり得ない設定だが、野心的な思考実験によりできた話だ。人間の三大欲求は、食欲、性欲、睡眠欲なんて言われているが、本当なのだろうか。
食欲が最低限満たされた島において、人はどう変わって行くのだろう。僕もアホウドリの調査で2週間ほど無人島で共同生活をしていたことがあるが、それは文明に裏打ちされたものであった。ほとんど物がない状況では、どんな生活になるのだろうとかと考えてしまう。
ストーリーは女性の役割についても、思考実験で進められていく。子供を産むことだけが役割なのか?
それにしても、小説においても、現実においても、女性は恐ろしい部分があるなぁなんて感じる。特に、生きる残る事に対しては、恐ろしいほど狡猾なのかもしれない。
もちろん、男の狂気も恐ろしいのだけど。