鯨組の末裔たち 鯨を捕る
須田 慎太郎 著
南房総市和田町には日本で4カ所しかない捕鯨基地の一つがある。小型沿岸捕鯨でツチクジラを捕獲している。本書は、見ることのないその捕獲作業を丁寧に取材したもの。
美しい写真から、その光景と共に捕鯨に携わる者の気合いが伝わってくる。
捕鯨問題は、生態系保護から文化、人情の問題まで国家間の争いにまでなっている。本書は、日本における捕鯨文化の理解に役立つ。
歴史がどんなに長かろうが短くても、続いてきた行動には文化や伝統、そして技術や知識が蓄積される。また、それが長ければ長いほど、広い範囲で行われているほど、携わってきた人たちも多い。
捕鯨に携わる者にとって捕鯨を禁止することは、伝統・技術の喪失以上に、今まで携わっていた親や先祖を否定されるように感じるのではなかろうか。そんな風に感じた。